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遺言書の検認とは
相続人に対して遺言書の存在とその内容を知らせ、遺言書の内容を明確にして偽造や変造を防ぐための手続きです。ここで遺言書の内容とは、形状、加除訂正の状態、日付、署名などをさします。
遺言書の検認が必要な遺言書
検認が必要
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
遺言書の形式は下の図に示すとおりで、通常、遺言書といえば普通方式の遺言書をさします。
普通方式の遺言書は「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」に区分され、下の表に示すようにそれぞれ特徴が異なります。これらのうち「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」は検認が必要です。
検認が不要
公正証書遺言
公正証書遺言は原本が公証役場で保管されます。
「遺言公正証書」と書かれた遺言書が見つかった場合は、それは公正証書遺言の正本や謄本であり、検認を受ける必要はありません。
法務局の保管制度を利用した遺言書
平成30年の民法改正により、法務局で遺言書の保管できる制度が新設されました。
この制度を利用すると、家庭裁判所による検認手続きは不要となります。
検認が必要な遺言書は開封厳禁
見つかった遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言)に封印がある場合は、勝手に開封してはいけません。法律では5万円以下の過料が科されることになっています。
開封してしまっても、遺言書が無効になるわけではありません。
ただし、開封したことで遺言書の偽造や変造を疑われる場合があります。
遺言書の検認は家庭裁判所で手続き
遺言書の検認は、遺言書を保管していた人または遺言書を発見した人が、遺言者(亡くなった人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で申立てを行います。
検認の手続きに必要なもの
- 遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言)
- 遺言書の検認の申立書(800円分の収入印紙を貼付)
- 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 連絡用の郵便切手
このほか遺言者と相続人の関係によって、追加で戸籍謄本が必要な場合があります。
相続手続きの期限
遺言書の検認には1か月以上の期間がかかります。その間は遺言書の内容が明らかにならないため、相続の手続きをすることはできません。
しかし、検認に時間がかかったことを理由に、相続放棄の申述期限(3か月)や相続税の申告期限(10か月)などが延長されることはありません。
これらの手続きが必要な場合も考慮して、検認が必要な遺言書が見つかったときは速やかに検認手続きを行うようにしましょう。
遺言書の検認の専門家への依頼
検認が必要な遺言書が見つかったときは、速やかに検認手続きが必要です。
検認には1か月以上の期間が必要で、その間は相続手続きが止まることになりますが、その他の相続手続きの期限は延長されません。
迅速に、かつご自身の手間をかけずに検認を進めたい場合は、専門家に依頼することも選択肢の一つです。
司法書士には、検認後に必要となる相続登記等、他の相続手続きもまとめて依頼することができるのでぜひご相談下さい。