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相続土地国庫帰属制度とはどんな制度?
相続等によって土地の所有権または共有持分を取得した方が、土地の所有権を国庫に帰属させる制度です。
どんな手続きが必要?
- 承認申請を申請する
- 法務大臣による要件審査が行われる
- 承認または不承認の審査が下る
- 承認された場合、申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する
- 所有権が国庫に帰属する
費用はいくらかかるの?
承認申請にかかる審査手数料
土地一筆につき 14,000円
※ 申請を取下げた場合や、審査の結果却下・不承認となった場合でも返還されません。
負担金
宅地、田畑、雑種地、原野等 原則として金20万円 ※
森林 面積に応じ算定
(※ ただし一部の市街地、農用地区域等の田畑については面積に応じ算定される)
申請が出来る人
- 相続人であり、且つ、相続または遺贈により土地を取得した人
申請できない人
- 売買、贈与(生前贈与含む)で土地を取得した人
- 相続人以外への遺贈によって土地を取得した。人
- 共同相続人のうちの一部の者からの申請は不可
※ 共有者のうち、一人が亡くなり、相続が開始したことで、共有持分の相続がある場合、他の共有者は売買や贈与で所有権を取得していても、共有者全員からの承認申請が可能
承認申請が却下・不承認となるのはどんな土地?
却下事由 (申請の段階で却下される土地)
以下の土地は、国庫帰属の申請自体が認められません(法2条3項)。
- 建物が建っている土地
- 担保権または使用・収益を目的とする権利が設定されている土地
- 通路用地、墓地、境内地、水道用地、用悪水路、ため池が含まれる土地
- 特定有害物質により汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地など、所有権の存否・帰属・範囲について争いがある土地
不承認事由 (申請しても承認されない土地)
以下の土地は、国庫帰属の申請が不承認となります(法5条1項)。
- 勾配30度以上・高さ5メートル以上の崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用・労力を要するもの
- 土地の通常の管理・処分を阻害する工作物・車両・樹木そのほかの有体物が地上に存する土地
- 除去しなければ土地の通常の管理・処分をすることができない有体物が地下に存する土地
- 以下の土地であって、現にほかの土地の通行が妨げられているもの
a.公道へ通じない土地
b.池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に至ることができない土地
c.崖があって公道と著しい高低差がある土地 - 所有権に基づく使用または収益が厳に妨害されている土地
(その程度が軽微で、土地の通常の管理または処分を阻害しないと認められるものを除く) - 以下のいずれかに該当する土地
a.土砂崩れなど土地の状況に起因する災害が発生し、その災害により生命・身体・財産への被害が生じるおそれがあり、その被害の拡大・発生を防止するために、土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く)が必要なもの
b.動物が生息する土地であって、その動物により人の生命・身体や農作物・樹木に被害が生じるおそれがあるもの(その程度が軽微で、土地の通常の管理・処分を阻害しないと認められるものを除く)
c.主に森林として利用されている土地のうち、市町村森林整備計画に適合していないことにより、追加的に造林・間伐・保育を実施する必要があると認められるもの
d.国庫帰属後の法令に基づく処分により、国が通常の管理に要するもの以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実な土地
e.法令に基づく処分により、承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、国庫帰属後に国が法令に基づきその金銭債務を承継するもの
却下事由と不承認事由のいずれにも該当しなければ、相続土地の国庫帰属が承認されます(法5条1項)。
相続土地国庫帰属制度が利用できない場合はどうしたらよいの?
相続土地国庫帰属制度を利用できない場合でも、相続で取得した土地を放置するのはお勧めできません。
〇 遺産分割を行う
〇 第三者に売却する
〇 相続放棄の手続きを行う
※ 相続放棄は相続を知った日から三か月以内に相続放棄の申し出が必要です。既に3か月経過している方は相続放棄の制度を利用することが出来ません。
※ 相続放棄をすると、他の遺産も相続できなくなります。
相続を知ってから3か月が経過しており、相続放棄することが出来ず、他の相続人との協議が整わず、第三者に売却することも出来ない・・・といった状況も考えられますが、令和6年4月から相続登記が義務化になりました。
そのまま放置してしまうと過料の対象になります。
そういった場合に相続人申告登記という簡易な手続きで義務を果たすこともできます。
お困りの方はいつでもお気軽にご相談下さい。