遺言書を作成しておくことは相続トラブルを回避する有効な手段です。
しかし、その作成した遺言書が思いもよらぬ形でトラブルを生んでしまうこともあります。
相続トラブルを引き起こさないために以下の点に注意が必要です。
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認知症になってから遺言書が作成された
民法961条では15歳に達したものは遺言をすることができると規定しています。
しかし、15歳以上であれば誰でも遺言ができるのかというと、そうではありません。
一般的には、遺言意思能力「遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識し得るに足る意思能力」が必要だと言われています。
認知症発症後に作成された遺言書だ、と後に遺言能力が争われ、場合によっては裁判所から遺言が無効と判断されてしまう可能性があります。
解決策
認知症発症前、元気なうちに遺言書を作成しておき、数年おきに見直す。
遺言書の財産の記載方法が曖昧で無効となる
遺言書の対象物件の特定が不十分として遺言の当該部分に効力が認められない可能性があります。
例:〇〇県の建物は長男に相続する等
遺言書の書き方が法律の要件を満たさず無効となる
遺言は要式行為と言って、法律で決まった通りの書き方でなければ無効と言われる可能性があります。
自筆証書遺言は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」他と決まっており、要式を誤ると無効になることがあります。
解決策
専門家に遺言書の作成を相談する。
遺留分侵害額請求に発展する
解決策
遺留分に配慮しない遺言は相続人間に無用な紛争を生じさせる可能性があります。なるべく遺留分に配慮した形が望ましいです。
遺言が発見されない、隠されてしまう、遺産分割後に遺言書が発見される
自筆証書遺言の場合には紛失してしまったり、相続人に遺言を見つけてもらえなかったりすることがよくあります。
解決策
自筆証書遺言保管制度や、公正証書遺言を利用する。
法務局や公証役場で半永久的に遺言を保管してくれるので、紛失や発見されないなどの心配はありません。
遺言の執行が煩雑
有効でトラブル性のない遺言があれば、相続財産を相続する手続きはスムーズです。
しかし、その後の各金融機関などで払い戻し等の手続きを行ったり、法務局で登記の申請が必要で金融機関、法務局などの窓口は平日しか手続きを行いないことがほとんどです。
解決策
遺言執行者を遺言書の中で選任しておく。
遺言を作成する際に、遺言執行者が指名されていれば、遺言者が亡くなった際には基本的には遺言執行者が名義変更などの全て手続きを行います。
遺言書は、そういったトラブルを防止するために極めて有効な手段ですが、作成には注意を要します。確実にトラブルを防いで有効な遺言書を作成するためにご相談下さい。